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2007.12.10 Monday 23:24

幕末ニッポン ハリスと黄昏の大君の都/たばこと塩の博物館

やたらと”読みごたえ”のある展示でした。
展示室自体はそう大きいわけでもないのに、情報量がすごい。
真面目に全部読んだら時間がかかりそうだったので、ある程度読み飛ばしながら観てたんですけど、それでも隅から隅まで観るのに1時間ばかりはかかったでしょうか。

2008年は、日米修好通商条約の締結から150年目となります。
今回の展示では初代アメリカ総領事タウンゼント・ハリスの来日から、開国をめぐるいろいろな出来事、外国と日本の関わりを通して幕末期を俯瞰できる展示内容となっていました。
ハリスが江戸に上るときに従者に着せていた半纏には、普通は家紋が入っているところに白頭鷲の紋章(アメリカのシンボルですね。)が入っていたそうです。現存している半纏の紋の部分と、それをもとに再現した半纏が展示されていました。日本人が描いたせいなのか、白頭鷲がずんぐりした二頭身の鳥になっていて可愛いです。ハリスは憮然としたかもしれませんけど(笑。
それからハリスへの饗応菓子も虎屋文庫の協力で再現されていました。四段重ねの箱に15種類のお菓子が詰められています。非常に綺麗でアメリカに持ち帰られないのが残念だと日記に記しているそうですが、本当に見ているだけで楽しくなりますよね、和菓子って。ああ美味しそう。
その後日米修好通商条約批准のために、今度は日本の使節がポーハタン号でアメリカに渡るわけですが、一行の中にいた谷文一という人のスケッチが展示されていました。(谷文晁の養子の方…ではないよね。でも関係者でしょうか。)
街並みを描写したものから、向こうの食事や食器、婦人の髪型には大いに興味をひかれたようでいろいろな髪型のスケッチがありました。

アメリカのあとはもう、なし崩しのように他の国々とも条約を結んでいき、それとともに物価の上昇や外国人への襲撃事件が相次いで、どんどん世情は緊迫していきます。
その頃の江戸の様子を桑名藩士が書き記したのが、最近発見された「文久日記」という史料です。
藩主松平定敬のお出かけ先はまあいいとして、藩邸に芸者を呼んだだの、江戸城が火事になったときに桑名藩士が手伝いにいったのはいいけど広すぎて迷っちゃっただのあられもないことが書き綴られているようですよ。桑名藩士自重www(ちなみに2008年に角川春樹事務所より刊行予定だそうです。)

後半には佐賀・鍋島家の洋学資料がたくさん展示されていました。
反射炉を作る際に参考にした設計図や、天体望遠鏡、六文義、時計…などなど。顕微鏡と一緒に展示されていた、雪の結晶の模様が入った茶碗が可愛いです。
そして最後の方には徳川慶喜の愛用の品が展示されていました。食器や天眼鏡、慶喜公作(!!)と伝わる刺繍入りの小物入れなど。晩年の慶喜公はその天眼鏡を使って新聞を読むのが日課だったとか。蜂須賀年子さんの「大名華族」を読んだばかりで、”小石川のおじいさま”のイメージが強いのでなんとなくほのぼのとした気持ちになりました。公人としての徳川慶喜にはいろいろと複雑な想いがあるんですけどね…。

こうしてハリス来日から大政奉還までが順を追って展示されていたんですが、それと合わせて、その時々に出版された浮世絵が展示されていたのも面白かったです。貨幣危機のときには乱造された貨幣が相撲をとってる図であったり、江戸開城間近のときには各藩の動向を風刺した内容であったり。で、次回はその浮世絵だけを取り上げた展覧会になるようです。こちらも楽しみ!

しかしこの展示内容で、しかも立派なパンフレットが付いて入場料100円はすごい!
カタログ代わりのムックも良かったですよ。単なるカタログではなく、ちゃんと読み物として面白い(こちら)。普通の出版物なのでamazon等からでも買えます。
右往左往
author : 遠野 | comments (0) | trackbacks (0)

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